宿題を嫌がる小学生に、どう声をかけたか。「宿題やったの?」が変わるまで
YouTubeを見ている子に宿題の話をすると、強く反発されることがありました。宿題や翌日の準備をクエストにしてから、会話が少しずつ変わります。子どもが自分で取り組む時刻を決めた場面を振り返ります。
目次 · 6項目
わが家で、何度も繰り返していた言葉です。
うちの小学2年生は、宿題をとても嫌がっていました。特に、YouTubeを見ているときに宿題の話をすると、
「なんで、こんな嫌いな宿題のことを、YouTubeを見ているときに考えなきゃいけないの?」
というほど、強く反発することもありました。
宿題をしないまま学校へ行く日もありました。明日の準備や洋服の片付けなどは、なかなか進まず、最後には私が代わりにやることもありました。
そんな状態から、みらいスケッチのプロジェクトを始めて1週間ほど経った頃、親子の会話に少しずつ変化が現れました。
宿題を嫌がる小学生と、親が考える将来のずれ
大人から見れば、宿題や勉強には、将来につながる意味があります。
でも、子どもからすると、その「将来」はまだかなり遠いものです。
今見ているYouTubeや、遊んでいるゲームは、この瞬間に楽しい。一方で宿題は、その楽しい時間を途中で止めるものに見えてしまいます。
大人は「宿題をすると将来のためになる」と考えます。しかし子どもにとっては、「宿題が今の楽しい時間を邪魔している」という感覚のほうが強いのかもしれません。
そこで私は考えました。
やりたくないことを終えた先に、自分の好きなことが待っている。そんな形に変えられないか。
宿題そのものを好きにさせるのではありません。
「これを終えれば、そのあとに好きなことができる」と見通せるようにする。そこから、みらいスケッチの考え方が始まりました。
宿題や翌日の準備を、毎日のクエストにした
みらいスケッチでは、子どもが日常生活の中で取り組むことを「クエスト」と呼んでいます。
たとえば、
宿題
明日の準備
音読
洋服の片付け
洗濯に関すること
などです。
普段の生活の中で、子どもがやることをクエストとして扱います。
クエストをクリアすると、「クエスト報酬」があります。ただし、報酬としてお金を渡すわけではありません。
子どもが普段から好きなことを、いつもより少し長く楽しめる時間などを報酬にします。わが家では、YouTubeを見る時間が少し長くなることが、子どもにとって大きな魅力になっていました。
宿題への声かけが変わり、子どもが始める時刻を決めた
取り組みを始める前は、こんな会話をしていました。
「今日、宿題やったの?」
それが、みらいスケッチのプロジェクトを始めて1週間ほど経った頃には、こう変わりました。
「今日のクエスト、ご飯の前に終わらせておくと、あとでYouTubeをゆっくり見られるけど、やっておく?」
すると、子どもは自分で考えて、
「じゃあ、ご飯の前にやっておく」
と答えました。
やることは、以前と同じ宿題です。
でも、「やりなさい」と命令されるのではなく、いつやるかを自分で選べるようになった。そこが大きな違いでした。
私自身も、その様子を見て「あれ?」と思いました。それまで強く嫌がっていた宿題に、子どもが自分でタイミングを決めて取り組み始めたからです。
もちろん、どの家庭でも1週間で同じ変化が起きるとは限りません。ただ、わが家では、この頃から親子の会話が変わり始めました。
宿題をいつやるか、子どもが選ぶ余地を残す
みらいスケッチは、単に「宿題をやったらYouTubeを見られる」という仕組みではありません。
子ども自身が、
いつやるか
どう進めるか
を選べることも大切にしています。
この背景には、「自己決定理論」と呼ばれる考え方もあります。
難しい言葉を使わずに表すなら、人は、自分で決めたと感じられるほうが動きやすいという考え方です。
親から一方的に命令するのではなく、子どもが選べる余地をつくる。それが、行動につながる一つのきっかけになると考えています。
ゲーム・動画の報酬を、増やし続けなかった理由
みらいスケッチを考えるとき、特に意識したことの一つが「報酬」です。
報酬は、大きければよいわけではありません。報酬を増やし続けると、
「もっと欲しい」
「前より多くないとやりたくない」
となる可能性があります。
そのため、報酬が際限なく大きくなりにくい形を考えました。
わが家で設定したのは、YouTubeを見る時間を少し長くすることでした。何か高価な物を買うのではなく、もともと好きなことを少し長く楽しめるようにしたのです。
報酬は、子どもを物で釣るためのものではありません。
行動したあとに、自分にとってうれしいことがある。
そのつながりを、子どもが理解しやすくするための仕組みとして考えています。
家庭ごとに違う、クエストを始めるときのつまずき
わが家では変化を感じられましたが、モニター家庭で試してもらうと、別の課題が見えてきました。
私は仕組みを設計した本人なので、「こういうときは、こう対応する」という考え方を、ある程度理解した状態で始められます。
一方、初めて取り組む保護者からは、
子どもにどう説明すればよいのか分からない
どのような声をかければよいのか分からない
クエストをどう決めればよいのか分からない
その子に合う報酬が分からない
という声がありました。
仕組みそのものより、最初にどう始めるかでつまずく家庭があったのです。
モニター家庭でも、1週間ほどで変化を感じるケースは多くありました。ただし、すべての家庭が同じように進んだわけではありません。家庭によって、子どもがつまずく場所も、保護者が迷う場所も違いました。
そこで分かったのは、良い仕組みを作るだけでは足りないということです。
それぞれの親子に合う形を、一緒に考える必要がありました。
親子に合う説明と、最初の量を考える
モニター家庭で分かったことをもとに、現在は、最初の設定を支える取り組みも進めています。
保護者と子どもにアンケートを書いてもらい、その内容をもとに、
その親子に合ったクエスト
その子に合った報酬
を、みらいスケッチの運営側も一緒に考えます。
最初の設定を家庭だけに任せず、一緒に整理することで、始める段階でつまずきにくい形を目指しています。
みらいスケッチは、すでに完成した仕組みではありません。実際の家庭で試し、そこで起きたことから学びながら、今も改善を続けています。
自分で宿題の順番を考えられる環境を作る
この記事で伝えたいのは、「報酬を使って子どもを動かす方法」ではありません。
考えているのは、親が何度も「やりなさい」と言わなくても、子ども自身が考えて動ける状態を、どうつくるかということです。
宿題や日常のやることを、無理に好きにさせる必要はありません。
やりたくないことがあっても、
いつやるか
どの順番でやるか
終わったら何をするか
を自分で考え、選び、行動する経験を少しずつ増やしていく。
その積み重ねを、
考える → 計画する → 行動する → 振り返る → 次の行動を考える
という流れにつなげていきたいと思っています。
子どもを無理に動かす方法を考えたのではありません。
子ども自身が、
「これをやったら、そのあとに好きなことができる」
「じゃあ、いつやろう」
と考えられる環境をつくろうとした。
それが、みらいスケッチの出発点です。
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