小学生の自由研究が進まない理由。テーマ選びとまとめ方を一緒に見直した日
二週間止まっていた自由研究に、用意した案は断られました。話を聞くと、子どもは最後に描く生き物を選べずにいました。一緒に候補を絞り、まとめ方も見直すうちに、私の最初の見立てが変わっていった話です。
目次 · 6項目
自由研究を進めるための、親の提案は断られた
提案してみました。
親としては、いい案だと思っていたんです。好きな絵で、止まっているものを仕上げられる。理屈は通っている。
でも本人にとっては、新しい難しさが一つ増えただけでした。オリジナルキャラクターを、いろんな角度から描く。それは今の本人にとって、図鑑の続きより重い作業だったんです。
「あんまり気が進まないの?」と聞いて、そこで引きました。かわりに、こう聞きました。
自由研究が止まった理由は、最後の生き物を選べないことだった
しばらく話していると、本人の口から出てきました。
やる気がないんじゃありませんでした。どれを描くか選べない。それだけでした。
何十匹も描いてきて、残った候補が横並びになっていて、どれを最後にすればいいのか分からない。決められないから、手が止まる。手が止まっている状態を、私はずっと「やる気が落ちた」のだと思っていました。
「どれ書きたいの?」と聞いても、「だからそれが分かんないの」と返ってくる。
そこで、こう言いました。
テーマ選びを手伝うときも、子どもが選ぶ余地を残す
言葉としては「決めてあげる」と言ったのですが、実際にやったのは候補を絞ることでした。
「これがいいじゃん、日本最大のトカゲだから」と1匹出したら、「それはもう書いた」と返ってくる。じゃあ、と別の1匹を出しながら、こう言いました。
ここが、自分で決めたと言えるポイントだなと思いました。
日本のトカゲは、数種類いましたが、その中で絶滅危惧種は3種類だったんです。本人が最初に選んだのは1匹ではなく「日本のトカゲを書くなら、絶滅危惧種から選ぶ」という決め方を考えて、最後の一匹をどれにするか自分で決めました。
自分の決定なので、本人はすぐに動き出しました。あれだけ止まっていたのに、消しゴムや色鉛筆を出しながら、さっそく描き始めたんです。
候補が横並び
「日本のトカゲなら」で絞る
「絶滅危惧種を書く」
前回の記事で書きました「書く絵の種類」は、全く関係ありませんでした。ですが、そんなことはどうでも良くて、最後の決定を本人がしたことですぐに行動に繋がった。ここが大事だなと思います。
生き物の候補を一緒に絞ると、自由研究が動き出した
書き始めた本人に、こう聞きました。
2週間止まっていたものが、候補を3つに絞っただけで動きました。
同じことが、この日もう一度ありました。
生息地の欄です。オキナワトカゲの生息地は、奄美、トカラ列島、○○島……と細かく分かれていて、全部書くのが大変で止まっていた。
でっかく「日本」とだけ書いて、その欄は終わりました。名前も、体長も、普通に書けています。文字が嫌なのではなく、書く量が多すぎて手がつかなかっただけでした。
自由研究の絵と説明から、負担になっていた部分を見直す
途中で、本人が図鑑をめくりながら説明してくれました。
最初のほうのページ。鱗までびっしり描いてある。手の形まで丁寧に。色のグラデーションまで塗ってある。
後ろのほうのページ。だんだん雑になっている。目や口が分かりにくい。塗りが荒い。
「違う人が描いたみたい」と言ったら、本人が「そうそうそう」と。
そして、こう言いました。
図鑑だから埋めなきゃいけない。描きたい気持ちが、後になってしまっていた。
やる気が落ちていく過程が、紙の上に残っていました。前半は好きで描いた絵。後半はノルマで描いた絵。同じ子が、ひと夏のあいだに両方描いている。
自由研究のまとめ方を、スタンプと一言に変えた
結局、まとめのページはこうなりました。
「まとめのページ、楽しく書くなら、スタンプのかわいいレオパで書いても面白いかもよ」と言ったら、「それいいね」と。
ヒョウモントカゲモドキのLINEスタンプから、かわいい絵を1つ選ぶ。文字は少なく。
それで、締めました。
最初に私が出した「今描きたい絵で締める」という案は、完全に外れていたわけではなかったんです。外れていたのは難しさの見積もりでした。オリジナルキャラクターを角度をつけて描くのは重い。デフォルメされたスタンプの絵を1つ選ぶのは、軽い。
同じ案でも、本人が届く大きさまで落とせば通る。
宿題の自由研究を終えたあと、子どもが描き始めたもの
続きがあります。
そのあと、本人がまた図鑑の続きを描き始めていました。誰も何も言っていません。
「なんで?」と聞いたら、こう返ってきました。
2週間止まっていた理由が、この一言で分かった気がしました。
図鑑にすると決めたのは、本人です。誰にも課されていない。何ページにするかも自分で決めた。それでも途中から「図鑑だから埋めなきゃ」に変わっていた。自分で決めたことが、自分へのノルマになっていた。
そして、詰まりが解けたあと、本人が自分でノルマを外しました。ここから先は書きたいものだけ、と。
私が教えたわけではありません。
自由研究のつまずきは、選ぶ・書く・終えるところにあった
3回とも、同じでした。
止まっているとき、渡していたのは答えではありませんでした。やることを、本人が届く大きさまで小さくする。それだけです。
子どもの取り組みが止まったとき、私が次に聞きたいこと
一度だけ確かめてみてほしいことがあります。それは本当に「やる気」の問題ですか。
- 「どれからやればいいか分からない」だけかもしれない
- 「量が多すぎて手がつかない」だけかもしれない
だとしたら、必要なのは励ますことではなく、選ぶ範囲を小さくすることです。
もうひとつ。ノートやドリルの後ろのほうのページを見てみてください。前半と比べて、字や絵が雑になっていませんか。それはサボりの跡ではなく、好きが義務に変わった跡かもしれません。